居残り記、再開です。
雪像づくりを終えたら、あっという間にお客様の夕食の時間に。
夜に控えるお座敷落語会の成功を仮面様にお願いし、館内へ。夕食のため、宴会場へでかけたお客様の部屋から布団を敷きに向かいます。
- 30日18時
この日は居残り修行中最多のお客様。当然、敷く布団も最多に。多少のズレはありつつも、基本的にお客様はだいたい同じ時間にお食事に向かわれます。各部屋を駆けずり回り布団を敷きまくります。
この日は五組のお座敷落語会。お客様のお食事は長くても一時間。この日は18時30分のお客様が三組、19時からのお客様が二組。20時までにすべてのお部屋を回らなければなりません。布団を敷き終わって18時45分、ここから75分間、怒涛の高座ラッシュが始まります。
- 30日18時45分
最初のお部屋へ。緊張の一瞬です。一つ一つの部屋に高座を作ることはできないので、座布団を持参して突入します。
殆どの部屋はテーブル席。生まれて初めての下から見上げる高座です。
15分一部屋を5部屋繰り返します。移動やお客様との会話も含めて15分なので落語の時間は10分弱。休憩する暇もないので、移動中に水を少しだけ。気分はマラソンランナーです。
なんてったってお座敷落語会。とにかくお客様と距離が近いんです。普段の高座では見えないようなお客様の表情の変化がはっきりわかります。一言一言への反応が見えるのは、とても貴重なデータを得る機会でありつつ、凄く怖い。普段の十倍は緊張しました。
なんとか各部屋15分で無事完走。大変ではありましたが、皆さんとても温かく迎えて下さって、本当に楽しい時間でした。
- 30日20時
クタクタになって晩ごはんへ。ご飯を食べ終わると、若旦那と打ち合わせに。
- 30日21時
翌日若旦那が日中用があって旅館を空けるとのことで、いつも以上に綿密に打ち合わせを。その日の私の接客を見て、
「お客様に伝える言葉は、決して誤解の無いように正確に。」
と若旦那からアドバイス。
登府屋旅館のお風呂は男湯と女湯とがあります。お風呂は夜通し、翌日の朝九時まで利用可能です。
これをお客様にお伝えするとき、私は
「お好きな時間にご利用ください、夜もいつでも結構です!次の日9時まで大丈夫ですので!何回でも!」
みたいな感じで、内容よりは伝え方を重視して、楽しい雰囲気を意識していました。それもいいのですが、9時まで、と言うと夜21時までと勘違いされてしまう“可能性”があります。あくまで可能性ではありますが、それを無くすため、「夜通し」「朝九時」の2つの単語を必ず入れることにしました。短い内容でも、分かりそうなことでも、あくまでお客様の不都合にならないように。ラフに見えて緻密な接客の心遣いに感服です。
その他にもいろいろなアドバイスを受け、ただただ勉強になるばかり。翌日は若旦那無しでの接客。緊張しながら眠りにつきました。
以降はまた次回に!